
優勢思想についてどう思うか
社会の役に立たないものは邪魔になるので、最初から生まれないようにしたのは国の政策だが、
社会の役に立ちそうもないものは育てる自信がないので、生まれないようにしたいと出産前の女性は思っているような気がする。
健康優良児を祈ることの延長線上にある、誰もがもつ考えなのではないか。
日常的に世間話を楽しんでいるときや、仕事中の端々で社会的に自立できないものを見下し、また身内に持ちたくないという考えはある。
自分たちが永遠にそうならないと自信満々なのが疑問である。
優生思想といったらナチスが有名か
優生思想を極めた政策を実行したナチスの声明には、「白痴を家族に抱えることで、その世話のために金がかかる。本来ならその金で健常者たちは家を建てることができるのに、~」というような文章が残っているようだ。
そして精神科医師たちを集めて、安楽死計画を進め、様々な病気で働けなくなり、改善の見込みのないものは病院へ閉じ込めた。
そして、入院中は本人や家族の意向はすべて無視して、殺したのである。
入院させられた人が、残された家族にあてた手紙がNHKで紹介されていたが、家族を養えないことを本当に気に病んでいた様子が窺えた。
殺害されたALS患者さん
つい最近、日本であったALS患者嘱託殺人事件の殺害された患者さんも、生前、何もできない自分や、家族に負担を背負わせる自分に苦悩し絶望したという、その経緯をニュースで知ったばかりであるが、
どちらの方も、社会で働けないことや他人に世話してもらうことをいけないことだと思っていたようだ。
養えなくなっても、違うところから無条件で援助があればいいのに
障害者、病人、高齢者の方は労働力もなく、生産性はのぞめない場合もあるが、それがどうした、と誰も思えないのか。
簡単には思えない一つの理由が、介助が大変ということがあるだろう。
理解できないこと、分かり合えないことが多いし、他人の排泄や性に関わることは避けたいと思うだろう。
体力と時間が奪われるのは誰もが嫌だと思うのではないか。
自分の時間を確保するためにはお金を使うことになる。
二つ目の理由はそのお金がかかって負担になるということだろう。
お金、お金、お金
なんだかお金に振り回されていないか。
お金を稼げないから役立たず。お金を出させてごめんなさい。お金がかかるものはお荷物だ。
人間がお金をつくったくせに。
思えば、お金がないから子供が作れない。お金がないから介護できない。
お金でしか解決できなくなっている。
AIに仕事が乗っ取られるとか言う前に、お金によって命を選別したり、戦争まで起こしてしまう人間はまったくもって愚かしい。
化学の進化と並行して、経済についてきちんと政策を打ち出してほしい。
どうやら人間の社会は人間が作っているようで、お金が意思をもち動かしているようだ。
お金こそ人間が作り出したモンスターウイルスなのかもしれない。